贈与・遺贈

Q5. 遺贈は家族以外の友人や団体にもできますか?

 はい、もちろん可能です。自分の財産を誰に遺すかは、本来その方の自由(遺言の自由)であり、法律上も、法定相続人ではない友人、内縁のパートナー、母校、お世話になった保護団体、あるいはNPO法人などに対して、遺言によって財産を譲ることができます。これを「遺贈(いぞう)」と呼びます。

近年、いわゆる「おひとり様」の増加や、社会貢献への意識の高まりから、特定の個人や団体に遺産を寄付する「遺贈寄付」を検討される方が非常に増えています。自分の人生で築き上げた資産を、自分が価値を感じる活動や、心から信頼する人に託すことは、素晴らしい終活の形と言えます。

しかし、家族以外への遺贈を実現するためには、通常の相続以上に慎重な準備が必要です。最大の注意点は「遺留分(いりゅうぶん)」への配慮です。配偶者や子供、親などの法定相続人には、遺言の内容に関わらず、最低限受け取れる財産の枠が保証されています。もし、すべての財産を友人に遺すと遺言に書いても、親族から「遺留分を侵害している」として金銭的な請求(遺留分侵害額請求)がなされる可能性があります。これが発生すると、せっかく財産を譲り受けた友人が、親族から訴えられたり、支払いに困ったりするという事態になりかねません。

また、家族以外への遺贈では、手続きをスムーズに進めるための「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」の指定が極めて重要です。相続人がいる場合、家族以外の誰かに財産が渡ることを快く思わないケースもあります。遺言執行者を指定しておかないと、名義変更などの手続きに相続人全員の協力が必要になり、手続きが停滞したり、友人が嫌がらせを受けたりするリスクが生じます。行政書士などの専門家を執行者に指定しておくことで、中立的な立場で確実に遺言を遂行できます。

さらに、税金面の違いも知っておくべきです。法定相続人以外が遺贈を受けた場合、相続税が2割加算されるというルールがあります。また、団体への寄付の場合は、その団体が「認定NPO法人」や「公益法人」であれば相続税が非課税になるなどの優遇措置もあります。

行政書士は、お客様の「この人に遺したい」という想いを尊重しつつ、親族とのバランスや税務上の注意点を踏まえた遺言書案を作成します。家族以外への遺贈は、死後のトラブルを防ぐための緻密な設計が必要です。独りよがりな遺言にならないよう、法的な裏付けを持った書面を作成し、あなたの想いを確実な形にするお手伝いをいたします。