贈与・遺贈

Q14. 「遺留分(いりゅうぶん)」とは何ですか?

 「遺留分」とは、一言で言えば**「残された家族が最低限受け取ることができる遺産の枠」**のことです。日本の法律では「自分の財産を誰に譲るかは自由」というのが原則ですが、一方で「残された家族の生活を守る」という視点も重視しています。そのため、たとえ遺言や生前贈与であっても、この「遺留分」だけは侵すことができない、聖域のような権利となっています。

遺留分を持つ人(遺留分権利者)は、亡くなった方の配偶者、子供(またはその代襲相続人)、および両親などの直系尊属に限られます。ここで非常に重要なのが、**「兄弟姉妹には遺留分がない」**という点です。もし、お子さんがいない方で、兄弟に財産を渡したくないとお考えなら、遺言書を一枚書くだけで解決できることになります。

遺留分の割合は、原則として**「法定相続分の2分の1」**です(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1)。 例えば、相続人が子供2人(長男・次男)のみで、遺言で「すべての財産を長男に譲る」とした場合、次男には本来の相続分(2分の1)の半分である「4分の1」の遺留分が認められます。もし長男が全財産を受け取ったとしても、次男は長男に対して「自分の遺留分に相当するお金を払ってくれ」と請求することができるのです。これを「遺留分侵害額請求」と呼びます。

注意すべきは、2019年の法改正により、遺留分の請求は「現物(不動産など)」ではなく**「金銭(現金)」による解決**に一本化された点です。不動産を長男に相続させた場合、長男は次男に対して、不動産の価値に応じた現金を支払わなければなりません。もし長男に手元資金がなければ、せっかく相続した不動産を売却して支払いに充てざるを得ない事態も起こり得ます。

行政書士は、生前贈与や遺言書作成の際、この「遺留分」を1円単位で試算します。遺留分を無視した設計は、将来の紛争を予約するようなものです。私たちは、遺留分を侵害しない範囲で最大限ご希望を叶えるプランや、万が一請求された場合の支払い資金の準備(生命保険の活用など)を含めたトータルな「紛争予防設計」をご提案します。