贈与・遺贈

Q20. 公正証書で贈与契約を作るメリットは?

 贈与契約書は自分たちで作ることも可能ですが、より確実性を高めるために、公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書」という選択肢があります。行政書士の視点から見て、公正証書にするメリットは、通常の私文書(自分たちで作る書類)とは比較にならないほどの**「強力な証拠力」と「安全性」**にあります。

最大のメリットは、「贈与者の意思能力と本人確認」が公に証明されることです。公正証書を作成する際、公証人は必ず本人と直接面談し、その意志と判断能力を確認します。これにより、将来的に他の親族から「認知症で判断力がなかった」「誰かに強要された」と主張されたとしても、公的機関が認めた正当な書面として、その主張を退ける極めて強力な根拠となります。Q16で述べた認知症リスクへの最も有効な防衛策と言えるでしょう。

次に、**「原本の保管」**という安心感です。公正証書の原本は公証役場で原則20年(実務上はそれ以上)厳重に保管されます。万が一、手元の控えを紛失したり、火災で焼失したり、あるいは悪意のある親族に破棄されたりしても、公証役場で再発行を受けることができます。これは、数十年先に発生するかもしれない相続トラブルに備える上で、非常に大きな安心材料となります。

また、**「強制執行力」**を持たせることができる点も特筆すべきです。例えば、死因贈与契約において「毎月一定額を仕送りすることを条件に、死後に不動産を譲る」といった内容にする場合、支払いが滞った際に裁判を経ずに相手の財産を差し押さえることができる「執行認諾文言」を付与することが可能です。これは、贈与契約を実効性のあるものにするための強力な仕組みです。

行政書士は、公証役場へ提出するための「文案」を事前に作成し、公証人と細かな法的な調整を行います。公証役場は「法的に有効か」は判断しますが、お客様の「家族関係に最適な内容か」というコンサルティングまでは行いません。私たち行政書士が、お客様の想いを最大限に反映した文案を作り、公証人がそれを法的な公文書へと昇華させる。この連携こそが、後悔しない贈与を実現するための最高のステップとなります。