贈与・遺贈 Q&A

Q1. 「贈与」と「遺贈」は何が違うのですか?

 「贈与」と「遺贈」は、どちらも自分の財産を無償で誰かにあげるという点では同じですが、法律上の性質や手続き、そして「いつ効果が出るか」という点が大きく異なります。

まず**「贈与」**とは、生きている間に、あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)の双方が合意して成立する「契約」です(民法549条)。「あげます」「もらいます」というお互いの意思表示が必要なため、相手が拒否すれば成立しません。また、基本的には契約した時点で所有権が移転します。生前贈与を上手に活用することで、自分が元気なうちに財産の行先をコントロールでき、受け取る側の感謝を直接感じられるという情緒的なメリットもあります。ただし、贈与税という税務上の検討が必要不可欠です。

一方、**「遺贈」**とは、「遺言書」によって自分の財産を特定の人や団体に譲ることを指します(民法964条)。こちらは契約ではなく、遺言者の「単独の意思表示」です。つまり、相手の同意がなくても、遺言書に書いておけば成立します(ただし、受け取る側は後から放棄することも可能です)。効力が発生するのは、あくまで「遺言者が亡くなったとき」です。遺贈の最大のメリットは、本来の相続人ではない第三者(お世話になった知人、内縁のパートナー、慈善団体など)に対して、確実に財産を遺せる点にあります。

手続き面でも違いがあります。贈与は契約ですので、贈与契約書を作成して双方が署名捺印します。不動産の場合はその時点で登記移転が可能です。遺贈の場合は、必ず「遺言書」という形式をとる必要があります。遺言書に不備があれば、せっかくの想いも無効になってしまうため、自筆証書遺言や公正証書遺言といった厳格な方式を守らなければなりません。

行政書士としては、**「今すぐ確実に渡したいのか」それとも「万が一の時に備えたいのか」**という視点で使い分けをアドバイスします。贈与は現在の生活に変化を与えますが、遺贈は死後のケアです。どちらを選ぶかによって、将来かかる税金(贈与税か相続税か)や、他の親族への影響も変わってきます。お客様のご家族構成や財産の状況、そして「誰にどのような想いを届けたいか」という背景を伺った上で、最適な手法をオーダーメイドで組み立てていくことが、私たちの役割です。