贈与・遺贈 Q&A

Q11. 結婚・子育て資金の一括贈与について教えてください。

「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度」は、父母や祖父母から18歳以上50歳未満の子や孫に対して、結婚や出産、育児に充てるための資金を贈与する場合、最大1,000万円までが非課税になる制度です。教育資金の特例と似ていますが、こちらはより「次世代の形成」に焦点を当てた制度となっています。

1,000万円の内訳は、結婚に関する費用(挙式費用、新居の家賃や敷金、引越し費用など)については300万円まで、残りの金額は妊娠・出産費用や子供の医療費、保育料などに充てることができます。少子化対策としての側面が強く、子世代が経済的な不安なくライフイベントを迎えられるようにという、親の願いを形にできる制度です。

手続きは教育資金と同様、金融機関に専用口座を開設して行います。支払いの都度、領収書を提出して払い戻しを受ける形式です。この「領収書」の管理が意外と大変で、対象となる費用の範囲(例えば、婚活費用は対象外、不妊治療は対象など)が細かく決まっているため、事前の確認が欠かせません。

この制度の実務上の注意点は、「贈与者が亡くなった時の扱い」が教育資金よりも厳しいことです。 教育資金の特例では、一定の条件(受贈者が学生である等)を満たせば相続税の加算を免れることができますが、この結婚・子育て資金については、贈与者が亡くなった時点での残高は、原則として受贈者の状態に関わらず相続財産に加算(持ち戻し)されます。 つまり、相続税の節税対策として利用するメリットは少なく、あくまで「今すぐ、確実に、結婚や育児の資金を援助したい」という純粋な贈与の目的で利用されるべきものです。

また、受贈者が50歳に達した時点で口座に残金があれば、その額に対して贈与税がかかります。 行政書士としては、この制度を利用する前に、まずは「贈与契約書」を作成した通常の現金贈与や、前述の「住宅取得等資金の特例」で十分ではないかを検討することをお勧めしています。特に結婚費用300万円という枠は、通常の暦年贈与(110万円)を数年組み合わせることで対応できる場合も多いからです。