贈与・遺贈 Q&A

Q22. 銀行口座の生前贈与で気をつけることは?

現金の贈与において、銀行振込を利用することは非常に一般的ですが、実はここには税務署から最も厳しくチェックされる**「名義預金(めいぎよきん)」**という落とし穴があります。名義預金とは、口座の名前こそ子供や孫のものですが、実質的には親や祖父母がお金を管理している状態を指します。これが名義預金とみなされると、将来相続が発生した際に「それは贈与ではなく、亡くなった人の財産だ」と判断され、多額の相続税が課されることになります。

名義預金と判定されないためには、単に振込をするだけでなく、以下の3つのポイントを確実にクリアしなければなりません。

第一に、**「贈与の成立(合意)」**です。贈与は、あげる側と「もらう側」の合意で成立します。親が子供に内緒で子供名義の口座にお金を積み立てても、それは法律上の贈与ではありません。子供が「確かにもらいました」と認識していることが不可欠です。

第二に、**「通帳・印鑑・キャッシュカードの管理権」**です。これが最も重要です。贈与を受けた子供や孫が、その通帳や印鑑を自分の意思で使い、管理していなければなりません。親が印鑑を握ったまま、通帳も親の金庫に保管されているような状態は、典型的な名義預金とみなされます。

第三に、**「証拠の残し方」**です。手渡し(現金渡し)は極力避け、銀行振込を利用して「いつ、誰から誰へ、いくら移動したか」という記録を残しましょう。そして、その振込の根拠となる「贈与契約書」をその都度作成しておくことが、税務署に対する最強の反論資料となります。

行政書士としては、さらに一歩進んだアドバイスをします。例えば、贈与を受けた口座から、実際に子供が自分自身の生活費や趣味のために少額でもお金を引き出して使う「実績」を作っておくことです。これにより、「この口座は本人が自由に使っている、本人の所有物である」という事実がより強固になります。私たちは、単なる書類作成にとどまらず、こうした「実態」をどう作るかという運用面まで含めて、安全な資産移転のコンサルティングを行います。