結論から言えば、日本の法律には「遺言自由の原則」があり、ご自身の財産を誰に、どのような割合で譲るかは、基本的にはあなたの自由です。法定相続人ではない友人に全財産をあげても、特定の子供一人だけに家を譲っても、あるいは動物愛護団体に寄付(遺贈)しても、遺言書としての効力は有効に発生します。
しかし、この「自由」を完全に行使しようとすると、必ずぶつかる壁があります。それがQ14でも触れた**「遺留分(いりゅうぶん)」**です。配偶者や子供には、たとえ遺言であっても奪うことができない最低限の相続枠が認められています。自由な遺言は可能ですが、この遺留分を無視した設計をすると、あなたの死後に「争い」という名の禍根を残すことになります。
行政書士が遺言作成をサポートする際、大切にしているのは**「自由と平和のバランス」**です。例えば、「家業を継ぐ長男にすべての不動産を継がせたい」という希望がある場合、単にそう書くだけでは他の兄弟から遺留分の請求(金銭の支払い要求)をされ、長男が資金繰りに困る可能性があります。 ここで私たちは、生命保険を活用して長男に「遺留分を支払うための原資」を準備させたり、不動産以外の現金分を他の兄弟に割り振るなど、希望を叶えつつも「争いにならない」パズルの組み合わせを提案します。
また、遺言書の中で、なぜそのような分け方をしたのかという「理由」を書き記す**「付言事項(ふげんじ事項)」**の活用も極めて重要です。「長女にはこれまでこれだけの援助をしてきたから、今回は長男に多めに遺す」「みんな仲良く暮らしてほしい」といったあなたの肉声に近いメッセージを添えることで、法律上の権利を超えて、家族の納得感を引き出すことができます。
行政書士は、あなたの「自由に決めたい」という想いを最大限に尊重しながら、それを「法的に壊れない形」に翻訳するプロフェッショナルです。自由に書くことと、その自由が死後に尊重され続けることは別物です。私たちは、あなたの意志が最後まで守られるよう、緻密な計算と心理的配慮を尽くした遺言書を作成いたします。