· 

千葉ニュータウンNews第16回 

終活

16回 相続と終活の相談室

行政書士

    家族信託専門士 中家 好洋

認知症についてのコラム

 今回認知症について、コラムを書こうとしたのは、私を含めた周りの方々があまりにも認知症のことを理解せず、認知症の方に対して、偏見の目で見て、「何故できないんだ」等の言葉を認知症の方に浴びせている現状を改善しないと前に進まないのではないかと思い、ペンを執った次第です。これを機に、認知症の事について、理解していただければ幸いです。

認知症とは

 認知症とは、正常であった脳が、様々な原因によりその働きが悪くなり、慢性の知能低下が起き、生活に支障(いわゆる呆け・物忘れ・徘徊など)がでている状態を指します。一般には高齢者に多く見られますが、単なる物忘れとは違った、脳の病気です。主な原因は、脳梗塞などの脳血管系の病気とアルツハイマ―病です。

認知症の有病率

 認知要は病気です。病気ですから、誰もがなるものではありません。

 病気ですから、有病率(病気にかかる割合)というものがでています。20092010年の調査によると、65歳以上の認知症有病率は平均15.7でした。

認知症という言葉の意味

認知症という言葉は、病名ではなく、病気の状態を示す総称です。正式な病名は、「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」等ということになります。

認知症の症状

 認知症は、認知症の原因疾患によって引き起こされるもので、認知機能障害のことを指します。

 認知機能とは、例えば、ものを覚える(記憶)、いろいろと考える(思考)、目の前のものが何かわかる(理解)、それをどのように扱うかを決める(判断)、お店で簡単なお釣りを計算する(計算)といった、私たちが日々の生活を行うために必要な機能です。

 認知機能障害は、これらの機能が障害されることをさします。つまり、ものを覚えられない(記憶障害)、考えがまとまらない(思考障害)、目の前のものが何かわからない(理解障害)、どうしたらよいか分からなくなる(判断障害)等、日常生活を支障なくおくることができなくなります。

記憶障害

 認知症の記憶障害は、「体験全体を忘れる」ということです。健康な人の物忘れは、「忘れた」ということを覚えていますが、認知症の場合、思い出すことができないばかりでなく、自分が「忘れた」ということ自体を自覚できなくなります。

見当識障害(時間、場所、人物、状況などを正しく認識する能力の障害)

 時間の見当識障害は、何時であるか、何年何月何日であるかの見当がつけられなくなること。

 場所の見当識障害は、自分がどこにいるのかがわからなくなること。

人物の見当識障害は、周囲にいる人が自分とどのような関係の人か分からなくなること。

失語・言語障害

 会話の中で単語が出てこなくなり、話をすることに支障をきたす場合と、周囲から示された言葉の意味が理解できなくなる場合がある。

失行

 体の運動機能が損なわれていないにもかかわらず、動作をすることができなくなること。

 構成失行は、立体図形や絵が模写できなくなる。

 観念運動失行は、単純な指示の動作ができなくなること。

 観念執行は、使い慣れた道具を使うことができなくなること。

 着衣執行は、衣服の着脱がうまくできなくなること。

失認

 視力や視野、視神経などに問題がないにもかかわらず、目で見ているものを理解できなくなること。

 視空間失認は、空間における物の位置や、物と物との位置関係が理解できなくなること。

 触覚失認は、日常使用しているものを触っても、それが何かわからなくなること。

 手指失認は、何指か分からなくなること。

 身体失認は、自分の身体の部位がわからなくなること。

 胸像認知障害は、鏡に映っている自分の姿を自分であると認知できなくなりこと。

実行機能障害

 計画を立て、順序だてたりしながら、物事を具体的に進めていくことができなくなること。

 

 これらの症状を見て、該当する場合は、「なんで?」ではなく、こういう病気なんだと理解することが大切です。そういった行為を責めても解決いたしません。もともと解決するような病気でなないので、ご家族の病気に対する理解を高めて接してください。

 

「スマホでできる相続診断教室」を開催しています 0120-47-3307