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千葉ニュータウンNews第13回

終活

13回 相続と終活の相談室

行政書士

    家族信託専門士 中家 好洋

認知症高齢者の現状

 65歳以上で認知症と言われている人は、約440万人といわれています。

 これは、介護保険を利用している認知症高齢者(日常生活自立度Ⅱ以上)で約280万人、介護保険を利用していない認知症高齢者(日常生活自立度Ⅰ又は要介護認定を受けていない方が約160万人。それに加え、MCI という軽度認知障害(認知症の前段階ではあるが、全ての者が認知症になるわけではないことに留意)といわれる方が約380万人(認知症予備軍)。あわせて約820万人いるといわれています。

 厚生労働省の発表によれば、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。

 「痴呆」「呆け」と言われていた時代には認知症の人を身体拘束したり、閉じ込めたりしたことがありました。現在ではそうした状態はかなり改善されてはいるものの、病院などでは点滴をするときには注射針を外さないようにと、身体拘束をしていました(私の義母)。

 こうした認知症が生活以外の場面で問題になるのは、意思判断能力が失われて、法律行為が認められなくなるときです。ここでいう法律行為とは、遺言書であるとか、家族信託とか文書に残す必要のある行為や、契約行為などです。

 意思判断能力が失われると、金融機関では定期預金の解約は出来ず、不動産の売買は出来なくなります。

 お金を持っていても、それを使えない。不動産を持っていても、それを売れない。という状態です。この状態を、「資産の凍結」と言います。

 この認知症の予備軍ですが、まだ大丈夫だろうと思っていたら、いつの間にか気が付いた時にはもう手遅れで、認知症になっていたということがあります。

 弊所にも、認知症の方を連れてきて、遺言を書いてほしいとか、家族信託を結びたいというご家族が来られるのですが、認知症だから全てダメというわけではなく、意思判断能力があれば大丈夫なはずですが、それは我々が決めるわけではなく、公証役場の公証人が判断して決めたり、歯医者以外の医師の「意思判断能力がある」という診断書があれば大丈夫ですので、人によってかなりの差がありますが、先ずはかかりつけ医の「意思判断能力がある」と書いてもらえるかを相談されることをお勧めいたします。。

 しかし、よく聞くのが、「今年の○○は元気だったのにね。あの時〇〇していればよかった」という言葉です。

 病気の進行の度合いは人によりまちまちですので、上記(左記)のようなこともあるでしょう。

 認知症は、今後誰にとっても身近な病気になっていくものと予想されます。

 私は50歳代前半、脳出血になって、最初言葉が出てきませんでした。ライオンの絵を見てライオンと言えないくらいの状態でした。認知症ではないのですが、言葉が出ないだけで、感情はありました。「それと一緒にするなよ」と言われるかもしれませんが、認知症になったからと言って、何もかもわからなくなるわけではありません。

 認知症の方と話をしていると、どうしても元気な時と比べて、つい、声を荒げてしまいがちですが、相手にとっては「何を怒っているのだろう」と思っています。

 医師や専門職だけでなく、ご家族の方にも、認知症に対する正しい知識を身につけてほしいと願っています。

 

 

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