「親と財産の話をしたことがなく、相続財産がどれほどあるのかわからない。」
「親父は山を持っていたと思うのだが。」
「兄弟で仲が悪く、亡くなった両親と同居していた兄が預金通帳を持っているはずだが、持っていないと言っている。」
「相続人の一人が葬儀のことや香典のことを取り仕切って、どのような状況かわからない。」
等々、皆さん不満や不安をお持ちです。
相続財産財産調査とは、相続した財産を調査することです。
相続人は、相続の手続きを進めるうえで、亡くなった人がどのような財産をどれだけ持っていたかについて、調査し、把握する必要があります。
相続財産調査の主な目的は、
①相続を承認するか放棄するかを判断するため
②権利があるのかないのか判断するため
③遺産分割協議のため
④相続税申告の必要があるのかを判断をするため、あるいは相続税申告のため
です。
それぞれは、以下の通りです。
①相続をするのかしないのか
相続をするとプラス財産だけではなく、負債等のマイナス財産も相続することになります。プラス財産よりもマイナス財産の方が大きい場合、相続人は自分の財産で、負債を弁済していくことになります。
相続人は、必ず相続しなければならないわけではありません。相続を放棄することもできるのです。
そのための判断をするために、相続財産を調査する必要があるのです。
②権利があるのかないのかを判断するため
財産=もの、だけではありません。
各種権利も財産になります。
その権利を行使することができるのか、できないのかを判断するために、調査する必要があるのです。
③遺産分割協議のため
どのように遺産を分割するかを決めるための協議を遺産分割協議といいます。遺産がどれだけあるかを知らないと、分けることができないので、そのためにも、相続財産調査は必要です。
④相続税を払う必要があるのか、ないのかを判断するため
相続税は必ず払わなければならないというわけではありません。
相続税には基礎控除があります。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
この金額以内であれば、課税されません。
ですから、相続財産をしらべて、この金額以内であれば、相続税を払わなくてもいいのです。それを知るためにも、相続財産調査は必要になります。
相続財産で大きなウエイトを占めるのは、自宅等の不動産と預貯金・有価証券等の金融資産です。
不動産に関しては、所有していない場合もありますが、預貯金口座は基本持っていると思います。
ですから、一般には相続財産調査というのは、不動産調査と金融資産調査ということになります。
相続人調査と並行して、金融資産調査を始めます。
預金通帳と郵便物から銀行、証券会社等がわかります。
固定資産税の支払いから、どこの市町村に不動産を持っているかがわかります。
預貯金・債権の調査
銀行の預貯金に関しては、ネット化されているものもあり、通帳やキャッシュカードがないものもありますので、注意が必要です。メール等が見れるのであれば、メール等で確認が必要となります。
銀行口座の整理が出来ていない方も多いでしょう。自宅にいくつかの預金通帳やキャッシュカードはありませんか。
それらの多くは、休眠口座になっている場合が多いのですが、いくら残っているのかわからない状態です。
※休眠口座=金融機関に預金として預け入れたまま、長期間その口座へ預金者側から出入金などの取引が行われなくなり、金融機関側から預金者への連絡も取れなくなった状態の預金口座のことで、特別の手続きをしないと引き出すことはできません。
被相続人も同様の状態だったと思います。下ろしたいのだけれど、キャッシュカードは使えなくなって、近くにその銀行がないので、そのままにしているという場合です。
そういった休眠口座も調べなければなりません。
また、農地を持っている方は、農協に口座を持っているものです。しかし、一般の銀行口座を持っている方も多く、チェックが必要です。
預貯金は、相続発生日(亡くなった日)の残高を取得することになります。調べたその日の残高ではありません。相続発生日の残高で分配します。
1.預貯金の調べ方
各金融機関に問い合わせをして、相続発生時の「残高証明書」や取引明細書」を発行してもらいます。
最近では、ネット銀行やダイレクトカードを使っている方も多く、注意が必要です。
その場合、パソコンやスマホをチェックする必要があります。
2.現金の調査
現金のあるところは限られていますが、それでも意外と見つからないものです。
遺品と一緒に捨ててしまわないように注意が必要です。
・自宅などに保管されている現金を確認います。
・タンスや棚、金庫や床下、倉庫や机などを探します。
・貸金庫の中に保管されている可能性もあります。
3.不動産の調査
不動産に関しては、固定資産税の通知書に、どの市町村の不動産かがわかりますから、その市町村で名寄帳を取得します。名寄帳にはその市町村の課税不動産の全てが書かれていますので、不動産調査方法としてはとても便利です。
ただし、この名寄帳には課税対象不動産しかのらないため、非課税の不動産(典型は公衆用道路)はのっていません。もし被相続人の不動産の前に私道部分がある場合、公図も取り寄せて、その私道についての登記簿謄本も取得するようにしてください。
農家の場合、不動産の数が多数に及ぶ場合があります。漏れがないように名寄帳を取得して調べる必要があります。納屋や倉庫といった建物が未登記のままになっていることがあります。未登記であっても、遺産に含まれますので、注意が必要です。
4.貸金庫の調査
被相続人が金融機関で貸金庫を利用していた場合、それを確認するのに相続人全員の同意が必要となるところがほとんどです。大抵は自宅近くの銀行だと思います。まさかと思っても、貸金庫を借りているか、否かを確認しましょう。
5.株式・投資信託の調査
株式や投資信託については、証券会社や銀行に問い合わせをして明細を出してもらいますが、ネット証券を利用している場合は、預貯金と同様、パソコンやスマホをチェックする必要があります。
6.車の調査
忘れがちなものが車です。
車は車検証を確認したうえで、どれくらい価値があるか査定してもらいます。
7.動産の調査
同じく忘れがちなものは動産です。
たとえ忘れていなくても、深く考えずに、「その他動産は〇〇に相続させる」として調査を行わないこともあります。
絵画や骨董品、宝石類や時計も忘れがちですが、遺産です。
8.相続発生後の賃料・小作料
遺産は相続発生時に被相続人(亡くなった方)が所有していた一切の財産であるので、相続発生後に遺産に含まれる不動産(農地や賃貸物件など)から生じた果実(賃料、小作料)は、遺産の範囲に含まれません。
もちろん、遺産分割により農地を取得する相続人が決まれば、分割後の果実はその相続人に帰属します。その一方で、相続発生後から遺産分割までの賃料債権については、法定相続分に従って当然に分割され、各相続人が取得するものとされています。
下記のような資産はすべて遺産になります。
・現金、預貯金、外国通貨
・暗号資産(仮想通貨)
・知的財産権
・株式など有価証券
・投資信託
・債権(売掛金、貸付金、立替金等)
・ゴルフ会員権
・不動産
・被相続人が受取人となっている保険金
・積立金
・車、宝石類、時計、絵画や骨董品など動産
亡くなった方が生命保険に入っていたか、また、入っていたはずだがどこの保険会社かわからないという場合もあるでしょう。
例えば、二十歳前後に実家を出てしまい、実家のことは全くわからないとか、両親が離婚して、今付き合いのない親が死んでいたと聞くこともあります。
そうした場合、何を頼りに生命保険を調べたらよいのでしょうか。もう、支払いも終わって、銀行口座を調べても、引き落としがないと、わかりません。
その場合、生命保険契約照会制度を利用して、調べることができます。
すべての保険会社ではないですが、登録している生命保険会社であれば、一括して調べられます。
最近、共済に加入している方も多いので、それは生命保険照会制度では調べられないので、個別に当たるしかないです。
負債も相続の対象となります。
・借入金(住宅ローン、クレジットカードの未払い分)
・買掛金
・リース料
・未払い家賃、未払い地代
・未払いの税金や健康保険料
・未払いの損害賠償債務
・預り金(敷金、保証金)
相続人が借金をしていた場合、相続人へ相続されます。相続人が相続をしたくない場合、被相続人が亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に全ての遺産を放棄する「相続放棄」か、または、相続する財産の範囲で負債を負う「限定承認」という手続きをする必要があります。
本人宛の郵便物や保管書類等を確認いたします。
本人の銀行口座が凍結されていれば、借金があった場合、返済がストップします。
そうすると、債権者から、督促状等の郵便物が届きます。その届いた郵便物を確認することで、負債の内容がわかります。
借金の返済計画の書類は一般的には捨てることはないでしょう。ですから、保管書類を調べる必要があります。
次に、銀行口座を調べましょう。
負債がある場合は、毎月口座引き落としや、振込などで返済等をしていた可能性があるので口座の記録を調べましょう。
しかし、本人宛の郵便物や保管書類等を調べられない場合(例えば、被相続人が亡くなったことを知らずに、後日、相続人になったことを知った方等)は、何を頼りに調べればよいのでしょうか。
そもそも、上記郵便物や保管書類が手にないらない場合、負債等をどうやって調べるのでしょうか。
その場合、信用情報機関に問い合わせることができます。
一般的に、銀行や金融機関からの借金は信用情報機関に情報が記録されています。(ただ、すべてとは言えませんが)
◎JICC(日本信用情報機構)
消費者金融やクレジット会社のローン、キャッシングなどの信用情報
◎CIC
クレジット会社のローン、キャッシングなどの信用情報
◎KSC(全国銀行個人信用情報センター)
銀行でのローン、キャッシングなどの信用情報
被相続人の一定の契約上の権利や義務も相続の対象になります。
・損害賠償請求権
・損害賠償する義務
・貸金請求権
・借入金返済義務 等々
次のようなものは相続財産にはなりません。
一身上の権利義務
契約上の地位であっても、被相続人の一身上の権利義務は相続対象になれません。一身上の権利義務とは被相続人に個人的に認められる権利や義務のことです。
例えば、
・婚姻費用や養育費の支払い義務や請求権
・年金を受給権
・生活保護をうける権利
などです。
被相続人にそういった権利や義務及び契約があった場合、すべて消滅します。
相続発生後の賃料・小作料
遺産は相続発生時に被相続人(亡くなった方)が所有していた一切の財産であるので、相続発生後に遺産に含まれる不動産(農地や賃貸物件など)から生じた果実(賃料、小作料)は、遺産の範囲に含まれません。
もちろん、遺産分割により農地を取得する相続人が決まれば、分割後の果実はその相続人に帰属します。その一方で、相続発生後から遺産分割までの賃料債権については、法定相続分に従って当然に分割され、各相続人が取得するものとされています。
祭祀財産
祭祀財産とは、先祖を祭るための財産で、次のようなものをいいます。
・仏壇仏具
・お墓
・位牌
・棺桶
・神棚
これらは、民法により、祭祀主宰者一人が引き継ぐこととされています。
遺産相続の対象にならないので、遺産分割協議で分けることはできません。
財産の中には法律上は相続財産にならないのですが、税務上は相続財産になるものがあります。
「みなし相続財産」といわれるものです。
代表的なものが、
・死亡保険金
・死亡退職金
です。
死亡保険金や死亡退職金は法律上の相続財産にならないので、遺産分割協議の対象にはなりませんが、税務上は相続財産となって相続税の課税対象になります。
「生命保険の非課税枠」で控除が認められています。
法定相続人数×500万円
依頼者は、相談に来られるときに、できるだけ資料をそろえようとしますが、それをやっていると時間が無くなってしまいます。
また反対に、最初の面談の時に、亡くなった方の財産内容を聞く事務所がほとんどです。それはそれで、間違ってはいません。しかし、夫婦であっても、親子であっても、実際には知らないことが多くあるのです。
弊所はそれを理解していますので、最初から財産内容の提出を必須項目とはしていません。
その後のお話の時に聞いた内容で、相続財産を調査していきます。
但し、探偵のように何もないところから、財産を見つけることはできません。
預貯金、有価証券であれば、通帳やキャッシュカード、銀行や証券会社からの郵便物などから調査いたします。最近では、ネット上に口座を保有している方も多く、通帳やキャッシュカードが発行されていない場合のあるので、メール等を確認する必要があります。
不動産に関しては、権利証や固定資産税課税通知書(納付書)、市町村役場で発行してもらう名寄帳などから調査します。
最初はどこから手を付けたらいいのかわからない状況です。わからなくて当然です。そういった時は、我々行政書士にご相談ください。遺産分割協議に向けての財産調査やその財産目録の作成を仕事としていますので、是非とも私たち「相続と終活の相談室 オフィスなかいえ」へご相談ください。
(2021/10/08)更新
1⃣ お問い合わせ
お電話またはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。
その際にご相談の内容をお聞きし、面談の日時を提案させていただきます。
弊所は、平日と土曜日に営業していますが、日曜・祝日や遅い時間をご希望の時は事前にお聞きします。
2⃣ 相談無料
弊所は相談無料です。お客様が相談料いくらですか?とよく言われますが、私たちは弁護士ではないので、相談料は取りません。
弊所はお客様との対話を大切にしていますので、時間を気にすることなくお話しください。
3⃣ 契約~委任状
お客様納得の上で契約することを重視しています。納得いかないことがありましたら、お気軽にお申し付けください。
勝手に進めることはありません。
契約が済みましたら、委任状に実印を頂きます。
委任状がなければ、我々は動くことが出来ません。
相続が発生したら、まずは【相談無料】の 相続と終活の相談室 オフィスなかいえ へご相談ください。
自分で解決しようとしても、複雑で面倒な相続の手続きは時間がかかります。
時間がかかると相続人どうしで不信感が芽生えます。
その不信感がトラブルに発展してしまいます。
相続は早めに終わらせましょう。
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