相続でもめる原因

長男優位

 相続でもめる原因の一つとして、日本人には戦後70年以上も経っているのに長男優位の考え方が残っているということが挙げられます。

 それはお墓を守るものが長男になっていることが多いからです。民法897条に祭祀(さいし)に関する権利の承継という条文がありますが、「慣習に従って・・・」とあいまいな表現で書かれており、その慣習に従って、家・土地が当然のように長男のものという認識が代々受け継がれてきたからです。

 

平等社会で育った相続人

 ところが、平等社会の中で育ってきた現代人にとっては「長男が家を継ぐのは当たり前」「女性は嫁に行くから遺産はもらえない」といった昔の世間の共通認識は受け入れがたく、今は仲が良くても、親の世代と子の世代の認識の違いから、いざ相続というときに対立することがあるのです。また、それに加えてその配偶者が絡んでくると、問題はもっと深刻になります。

 相続の問題で兄弟姉妹がもめると、仲がいいと自分たちで思っていても、いつの間にか回復できないような状態になります。

 それは、金額の問題ではなく、優劣の問題に変化してきます。だれだれよりは親の面倒を見てきた等、比較の問題でもめるのです。

 相続でもめる金額は、5000万円以下が75%だそうです。

 5000万円は大きな金額ではありますが、世間一般に言われている大金持ちではありません。

 

 この部類でもめるのは金額ではなく、優劣によりもめているのではないでしょうか。

 

お金のいる時期

 また、一般には相続の時期と相続を受ける方がお金を必要とする時期が一致していることが多いのも原因の一つです。

 一般的に相続は40代~50代という一番お金を使う時期にめぐりあいます。

家(マンションを含む)を買って、住宅ローンを払いながら、子供を学校に行かせるという涙ぐましい努力を皆さんしているわけですから、親が亡くなって悲しい反面、親の財産を充てにするのはしょうがないことでしょう。

 だから、少しでも多くの相続を望むわけです。

 

墓じまいと長男優位

 今は核家族化が進み、親と一緒に住んでいる子世代はあまり見かけなくなっています。

 親と一緒に住んでいないので、お墓の問題が出てきます。お墓だけのために、実家もなくなっているのに、遠くに墓参りすることが合理的でなくなってきているので、墓じまいが増えてきています。

 そうすると、家を継ぐ長男という名目がなくなってきたのです。

  だから、親の財産を平等に分けてほしいと望むのは当然だと思うのです。

 

親の財産

 親にとっては、自分の財産がどこに行くのかは大きな問題です。

 親にとって希望があるのであれば、それなりの準備が必要です。

 その一つが「遺言書」であり「家族信託」です。

 ここでは「遺言書」についてお話させていただきます。

 遺言書がなければ、法律で定められた「法定相続人」が法律で定められた割合で遺産を受取るか、遺産分割協議で決めなくてはなりません。

 法定相続人以外に財産を残したい人がいるなら、遺言書を書かなければなりません。

 例えば、息子の嫁に面倒を見てもらったので財産を残したいと思っても 、息子の嫁は法定相続人ではありません。

 今回の相続法の改正(2019年7月1日)により、息子の妻は相続人に対して、金銭の請求をすることができるようになりました。

でも、実子である息子がすでに亡くなっていたら、息子の嫁は請求することができるでしょうか。

 はなはだ疑問です。

 

ですから、そういう気持ちを持っているのであれば、遺言書に書いておきましょう。

 

 

 こういう問題には早くから対処することが必要です。

 相続が始まってしまってからでは間に合いません。

 親は自分の子に財産を残したいと思っています。

 その財産をどういうふうに残すかを理解してあげましょう。

 

 そのためにも、遺言書を書いて、誰に、何を、どのように 残すかをはっきりさせておくことは重要な行為と言えるでしょう。 

 遺言書を書く前に、あなたが認知症になってしまったり、交通事故で亡くなってしまうことだって考えられます。

 

 まずは自筆証書遺言で結構ですので、ご自分の意思をはっきりと示しましょう。

 

 あなたは、生命保険に入っていますよね。それは残された方々に対してのあなたの意思ですよね。

 それと同じです。

 

 親が書いた遺言書を否定するような子は、絶対とは言えませんがまずいないと思います。

 そして、遺言書は何回書いてもいいのです。

 最後に書いた遺言書が有効とされるので、気楽な気持ちで書いてみましょう。

 

遺言書の専門家

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 子に対する問題を、自分で解決しようとしても、複雑で面倒な遺言の手続きは失敗が許されません。

 自分ではいいと思っても、遺言は法律行為なので、認められないことあります。

 認められないと、自分の最終意思は実行されず、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)によって決めることになります。

 

 遺言書は慎重に取り組みましょう。

 

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相続法が改正されました

2019年1月13日(始まっています)

自筆証書遺言の財産目録をパソコン等で作成することを可能とすること

2020年7月10日

法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新設


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