生前贈与が原因でもめる人

生前贈与が相続トラブルになる理由

住宅資金の贈与

 子が住宅を建てるとき、マンションを買うときに、親から資金援助を行けるというのは、よくある話です。「住宅取得等資金の贈与の特例」を活用することで、親は相続税が少なくなり、子は住宅ローンの負担が少なくなり、互いにメリットを得ることが出来るのです。

 しかし、子が1人ではなく他にもいて、その子がそのような資金援助を受けなかった場合、それを知った子はどう思うでしょう。まず、納得しないでしょう。

 

 また、親の土地に子と親がお金を出し合って、2世帯住宅を建てるケースのあります。

 この場合も、子が一人なら問題有りませんが、他の子がいる場合、この住宅の一部と土地は共有財産となります。共有財産?もうお分かりですね、共有財産はトラブルのもとです。

 

 

事業後継者

 中小企業、農業、個人商店などを承継する場合、分割で相続すると事業が成り立たなくなるでしょう。こうした場合、法定相続で分けることは不可能です。

 相続財産の大半が不動産であったり、株式であったりすると、それを共有・分割してしまうと、問題を先送りするだけで、後々問題が更に大きくなるでしょう。

 

時代の流れで家族の仕組みが変わった

 戦前の家督相続の時代には、長男が単独で相続することが当たり前で、長男に実質的な決定権がありました。

 しかし、今では長男が親と一緒に住むことが少なくなり、家や家業を守るということもなくなってきています。そうすると、長男の決定権がなくなってしまって、まとまりがなくなってきています。

 兄弟姉妹も、家や家業を守ろうという発想から、自分を大切にという考え方に代わってきています。

 

生前贈与がトラブルになるのは

 生前贈与がトラブルになるのは、親が子に良かれと思って送った多額の生前贈与が、特別受益になることを知らないからです。

 

相続対策

 相続対策は、生前贈与などの節税対策から始めると、大抵失敗することになります。

 相続対策は、

Ⅰ.遺産分割対策

Ⅱ.財産管理対策

Ⅲ.納税資金対策

Ⅳ.節税対策

の順に行うことを肝に銘じてください。

 

生前贈与されると特別贈与になり相続分が減る

特別受益の持ち戻し

 相続人の中で、被相続人(亡くなった人)から遺贈を受けたり、生前に資金援助を受けた場合、これを「特別受益」といい、相続の前渡しを受けた者として相続分から差し引かれます。この制度を、「特別受益の持戻し」と言います。

 

特別受益者とみなされる人

・遺贈を受けた相続人

・婚姻または養子縁組のための生前贈与を受けた相続人

・生計のための資本として生前贈与を受けた相続人(特別な学費を受けた相続人)

 

特別受益に当たるケース

・遺贈を受けた(遺贈は相続時に遺言で与えられるものであり、常に特別受益となる)

・結婚や養子縁組の際、持参金や支度金を出してもらった。

・住宅資金を出してもらった。

・独立開業の際、資金援助をしてもらった。

・家や土地をもらった。

・特定の子供だけ留学費用を出してもらったり、特定の子供だけ大学や大学院まで出してもらった。

・高額の結納・新婚旅行費用を出してもらった。

・一定期間生活費を出してもらった。

 

特別受益にあたらないケース

 一般的な結納金や結婚式の費用は、親のためという一面があるため、特別受益にはあたりません。 

 

特別受益の持戻し免除

 このような特別受益の持戻しという制度ですが、これを戻さない方法もあります。「特別受益の持戻し免除」というものです。

 贈与契約書や遺言書の中で「妻に贈与した自宅不動産は、相続財産に参入せず、また、妻の相続分から控除しないこととする」と記載していれば、妻の特別受益の持戻しはされません。

 

 

遺言書を書いておくべき人

遺言書

相続法が改正されました

2019年1月13日(始まっています)

自筆証書遺言の財産目録をパソコン等で作成することを可能とすること

2020年7月10日

法務局において自筆証書遺言を保管する制度が新設


遺言書についての

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