相続の基本

相続人調査と相続人の確定

被相続人

 被相続人とは、「亡くなった人」のことです。

 法律上の言葉で、一般的ではありませんが、この「相続」に関しては、亡くなった人=被相続人 でこの言葉を使わせていただきます。

 

相続人

 次に、「相続人」とは誰のことをさすのでしょうか。

 相続人は「被相続人の財産(遺産)を相続する人」です。

 相続人になるべき人は、民法で定められており、「法定相続人」といわれています。

 

 さて、被相続人に遺言書がなければ、相続人が誰かを調べるために相続人の調査から行います。

 

 依頼者から、「相続人は分かるから」と相続人の調査が必要ないように言われる方がいらっしゃいますが、戸籍謄本、原戸籍謄本等を通じて間違いなく相続人であることの証明がなければ、金融機関でも預金の引き下ろしが出来ませんし、法務局における相続登記もてきません。

 そのため、弊所では法務局における「法定相続情報証明制度」を利用させてもらっています。法務局に相続人が誰であるかを証明してもらうのです。銀行や市役所に行くと、この「法定相続情報証明制度」の利用案内が見られます。 

 

 相続人が誰かということは、一番最初にやらなければなりません。誰が相続人かわからずに他の作業を先に行って、後から相続人が違っていたとなると、すべてを最初からやり直さなければならないことも発生します。

 特に離婚を経験している方の相続人は要注意です。

  

法定順位

 相続順位についてみてみましょう。

 

 ある人が亡くなった場合、配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になります。

 

 ・第1順位の相続人は直系の卑属()がなります。

  子が死亡している場合は、その子()が第1順位の相続人となります。

  ここで注意しなくてはならないのが、子の配偶者は相続人ではありません。気を付けてください。

 

 ・亡くなった方に子がいなかった場合、つまり第1順位の相続人がいなかった場合、第2順位の相続人に相続権がわたります。直系の尊属(父、母)です。父母が2人とも死亡している場合、おじいちゃん、おばあちゃんです。

 

 ・直系尊属がいない場合、第3順位の相続人として兄弟姉妹がなります。兄弟姉妹が亡くなっている場合、兄弟姉妹の子(甥、姪)が第3順位の相続人になります。

 

相続人関係図

法定相続人は戸籍で証明

 法定相続人が誰になるかを証明するのは戸籍です。

 一般には、法定相続人は配偶者と子となります。(そうでない場合もありますが)

 被相続人の死亡の記載のある除籍から被相続人の出生までさかのぼった一連の戸籍が必要になります。これにより、被相続人の結婚歴や、儲けた子供の人数がわかるとともに、それを証明することができます。

 

相続人調査が難しい理由

 相続人調査においては戸籍謄本を丁寧にかつ慎重に読み解くことが求められます。

 非常に時間がかかり面倒な作業を強いられることになります。

 

 相続人調査が厄介な理由は、大きくは下記の3つあります。

❶戸籍の形式にはいくつかあり、それぞれにその記載方法が違うため、それを正しく理解する必要があります。

 戸籍の形式は、古くは「明治19年式戸籍」「明治31年式戸籍」「大正4年式戸籍」「昭和23年式戸籍」「コンピューター化された原稿戸籍」といったものに分けられ、それぞれ戸籍の記載内容と記載方法が違います。

 

❷古い時代の戸籍謄本は、手書きで、しかも毛筆で書かれており、さらに字の上手い下手もあり、見慣れない人では何と書いてあるかがわからないのがほとんどです。

 明治、大正のそれぞれの戸籍は、手書きの毛筆体で書かれています。

 

❸戸籍の種類の違いを正しく理解しておく必要があります。

 戸籍の種類は、「戸籍」「除籍」「原戸籍」の3種類があり、

 戸籍=現在戸籍は、現在存在している戸籍のことをいいます。

 除籍=戸籍に記載されている人全員が死亡や結婚、本籍地の移転等でその戸籍に誰もいなくなった戸籍のことをいいます。

 原戸籍(はらこせき・げんこせき)・改正原戸籍=戸籍は法律の改正で様式などがかわることがあり、新しい戸籍にかわるまで使われていた古い戸籍のことを原戸籍といいます。(げんこせき)でも(はらこせき)でもどちらでもいいのですが、市役所では「はらこせき」と呼んでいます。

 

 相続において必要になるのは、「謄本」です。「抄本」との区別も記載しておきます。

戸籍謄本・・・戸籍に記載されている全員の身分事項を写したものです。「謄」とは「原本をそのまま書き写す」の意味です。戸籍の原本をすべてコピーするものです。

戸籍抄本・・・戸籍に記載されている一部の人の情報です。「抄」とは、「ぬき書きしたもの」の意味で、戸籍に記載されている人の1人の部分をコピーするものです。

❸戸籍の附票・・・本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。

 

 戸籍には、既に存在しない地名が出てくることも珍しくありません。その地名をインターネットで調べて、どこの管轄市町村かを調べ、出生の事実がかかれている戸籍にたどり着くまで収集を続けます。

  

 法定相続人の中に、あったこともない相続人がいる場合もあるでしょう。当然、相手は、相続が発生したことを知らない可能性があります。

 遺産分割協議は相続人全員の同意が必要ですので、その方を無視することはできません。

 話したくない方もいるでしょうが、お手紙でも構わないので、相続が発生したことを連絡しなければなりません。

 

  以下は平成6年式戸籍であり、データ管理化されており、横書きです。「全部事項証明書」(戸籍謄本)、「個人事項証明書」(戸籍抄本)と呼ばれています。

 

 以下の戸籍は、縦書きで、古い戸籍では、筆で書かれた記載もあり、読めないものも多くあります。

 これを繰り返して、被相続人の出生までさかのぼった戸籍及び法定相続人の現在戸籍がそろったら、法務局に「法定相続情報証明制度」を利用して「法定相続情報証明書」を発行してもらうことをお勧めいたします。

 

 

戸籍謄本の具体的な取得方法

 戸籍謄本を取得するためには、本籍地のある市区町村での手続きが必要です。

 実際に市区町村へ出向いて取得する方法と、郵送による申請での取得もあります。

 郵送の場合は、定額小為替による手数料と返信用の封筒に切手を貼って、送り先を書いて同封するなどの手続きが必要になります。

 戸籍謄本を請求することができるのは、原則としてその戸籍の構成員や直系親族の方に限られており(運転免許証など、身分証明書のコピーが必要)、親戚等の代理人が請求する場合は委任状が必要です。

 申請書には請求者の氏名を自書し、印鑑を押す必要があります。

 

 行政書士は職権で委任状なしで戸籍謄本等を取り寄せることができます。

 

「死亡から出生までの連続した戸籍謄本」の取得方法

 「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」を集めるのは、意外と難しい手続きです。

 まず、依頼者からは本人及び兄弟姉妹の住所と戸籍、並びに被相続人の住所を得られますので、被相続人の「本籍地記載あり」の住民票を取得して、本籍地を確認することがで、戸籍を請求していきます。

❶死亡時の本籍地記載ありの住民票を取得する

❷死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)を取得する

❸❷の戸籍の中から「1つ前の本籍地」が記載された個所を見つける

❹見つけた「1つ前の本籍地」の戸籍謄本を取得する

 この❸と❹を繰り返すのですが、その時に、「1つ前の戸籍謄本」をコピーして「1つ前の本籍地」が書かれた箇所にマーカー等でしるしをつけて一緒に送ります。

 そして連続した戸籍で気を付けなくてはいけないのが、そこに書かれている戸籍の日にちに空白がないかをチェックすることです。

 

戦争や災害により戸籍が消滅している場合や保存期間が経過しているために廃棄済みの場合

 戦争や災害で戸籍が消滅していることもあります。

 また、保存期間が経過しているため廃棄済みの場合もあります。

 さらに、戸籍は明治からの制度であるため、それ以前はもともとありません。

 その場合は、市町村役場で「不在籍証明」とか「焼失証明書」(役所により呼び方が異なります)といった書類を発行してくれます。

 この焼失証明書には、焼失した原因や日時等が書かれていますが、本来必要な内容については記載はありません。これでは、法務局の方ではだれが相続人かが判断できないので、上申書の提出を求めてくることがあります。

  

戸籍の取り寄せ方法が変わります

 2019年5月に戸籍法が改正され、2024年をめどに本籍地以外の市区町村でも戸籍謄本を取り寄せられるようになります。戸籍謄本の取り寄せが1か所でできるようになり、相続人の負担がさらに軽くなります。

 

相続人に認知症等判断能力がない方がいた場合

 相続人の中に意思判断能力のないもの(例えば認知症の方)が一人でもいる場合、遺産分割協議はできません。遺産分割協議は相続人全員に判断能力が備わっていることが大前提だからです。遺産分割協議書に印鑑を押させるような行為をした場合は無効となります。

 この場合、その人に代わって家庭裁判所に後見開始の申立てを行い、その人の成年後見人を選任してもらう必要があります。 手間だけでも大変なのですが、農地が相続財産の場合、もっと大きな問題が発生します。

 成年後見人は本人の利益を損なうことができないので、遺産分割協議にあたっても、法定相続分を確保することが原則となります。その場合、農地が共有財産となってしまいまう可能性が高くなります。

 本来その農地を継ぐべき人が、その農地についての意思決定権が成年後見人にもわたってしまい、自由な決定をすることができなくなります。

 

相続人に行方不明者がいる場合

 相続人の中に行方不明者がいる場合は、

①不在者の失踪宣告をする

②不在者の財産管理人を選任する

のどちらかを選ぶことになります。

①不在者の失踪宣告をする

 失踪宣告をすることによって、行方不明の相続人は死亡したものとみなされますので、相続財産の名義変更等遺産分割手続きが出来るようになります。

 但し、失踪宣告をしても行方不明者の相続分が消えてしまうわけではありません。本人が後日出てきたときは、相続分を請求することが出来ます。

②不在者の財産管理人を選任する

 家庭裁判所に不在者財産管理人の選任してもらいます。不在者財産管理人は、不在者の財産を管理したり、不在者の代わりに遺産分割協議に参加することになります。

 不在者財産管理人を選任するには、何か月かの期間を要しますし、通常、50万円程度を家庭裁判所に預託する必要もありますので、不在者財産管理人の専任手続きを行う負担は大きいです。

 しかし、不在者財産管理人を選任しなければ、遺産分割の手続きを進めることができないという場合、こうした負担を考慮してもなお、遺産分割の手続きを進めなければならないこともあります。

 なお、不在者財産管理人の専任手続きの過程で、家庭裁判所は、警察に対して失踪者の情報の提供を求めたり、職業安定所に対して登録情報の提供を求めたりします。

 その際、警察、職業安定所から、相続人の居場所についての情報が提供され、相続人がどこにいるかが判明することがあります。

 このような場合には、居場所が判明した相続人と連絡をとり、遺産分割の手続きを進めていくことになります。

 

相続人に未成年者がいる場合

 相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければなりません。

 未成年者が法律行為を行う場合は、通常は親権者が未成年者の法定代理人として法律行為を行います。

 しかし、親と子がともに相続人である場合、親が子の法定代理人として自分自身と協議することになってしまいます。これでは、利益相反が生じ、子の相続人としての利益が損なわれてしまう恐れがあります。

 したがって、親権を行う父または母とその子との利益が相反する行為については、親権を行うものは、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に申し立てなければなりません。

 これにより、遺産分割協議は、親権を行う親と、子の特別代理人との間で行われることとなります。

 

 家庭裁判所が特別代理人を決定するにあたっては、未成年者との関係や利害関係の有無などの適格性が考慮され、未成年者の利益を保護するための職務を適切に行えるかどうかが判断されます。

 申立書には、特別代理人の候補者名を記載することができますが、家庭裁判所がこれに拘束されるわけではなく、家庭裁判所独自の判断により特別代理人が決定されます。

 

(2021/10/8)更新

相続全体の目次

『相続と終活の相談室 オフィスなかいえ』の   サービス提供の流れ

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 勝手に進めることはありません。

 契約が済みましたら、委任状に実印を頂きます。

 委任状がなければ、我々は動くことが出来ません。

 遺言書があれば相続はそれにしたがって財産を分けることになります。

 

 しかし、遺言書がなくてお亡くなりになった場合、相続人全員による遺産分割協議(話し合い)を行って全員の同意が必要となります。

 この、「全員の同意」がポイントで、一人でも反対の人がいると財産を分けることが出来ません。

 では、反対の人がいるとどうなるでしょう。その場合、家庭裁判所の調停や審判となります。こうなると骨肉の争いが始まり、家族関係は修復出来なくなる可能性があります。

 「そこまではならないだろう」と思っていらしゃる方、確かにそこまではならないかもしれません。でも、多くの人が不満を抱えつつ我慢しているのです。何かの拍子にそれが爆発してしまうのです。

 相続のトラブルで3/4が5000万円以下の相続といわれています。

 テレビの影響でしょうか、相続のトラブルは金持ちの家庭で起こるものだという錯覚をしていますが、実際は逆なのです。

 最初から期待せず動いていれば、そんなにもめなかったものが、変な期待と欲望をもって相続に臨むと家族間に修復のきかない溝ができてしまいます。

 

 私たちは、争いのないスムーズな相続のサポートを行っています。

 

争いの発生する前にご相談ください。

そして、相続で家庭環境を壊さないようにしましょう。

 相続財産が現金だけであれば問題は少ないのですが、今の日本の家庭では、多少の現金とマイホームということが一般的に考えられます。

 現金は分けられますが、マイホームはそのままでは分けられません。共有名義ということも考えられますが、共有名義は後々厄介な問題に発展する可能性がありますので、お勧めできません。そういう場合は、不動産を売って、そのお金を分けることになると思います。

 現金だけであれば、遺産分割協議書はなくても分けることはできます。

 しかし、定期預金や不動産は遺産分割協議書がなければおろすことも売ることもできません。

 

  相続の一般的なルールを記載させていただきます。

 

相続人

 配偶者は必ず相続人になります。

 

第1順位の相続人は直系の卑属(子)がなります。子が死亡している場合は、その子(孫)が第1順位の相続人となります。

 ここで注意しなくてはならないのが、子の配偶者は相続人ではありません。気を付けてください。

 

・子がいなかった場合、つまり第1順位の相続人がいなかった場合、第2順位の相続人に行きます。直系の尊属(父、母)です。父母が2人とも死亡している場合、おじいちゃん、おばあちゃんです。

  

・直系尊属がいない場合、第3順位の相続人として兄弟姉妹がなります。兄弟姉妹が亡くなっている場合、その子が第3順位の相続人となります。

 

相続方法の決定(単純相続・相続放棄・限定承認)

 相続方法の決定は、相続するのか、しないのかを決めることです。

 財産調査をもとにプラスの財産とマイナスの財産をを確認して、相続開始(被相続人が亡くなったと同時に相続は開始されます)から3ヶ月以内に相続方法の決定を行う必要があります。この期限を過ぎますと、単純相続をしたことになります。

 

単純承認とは

 単純承認とは、すべての相続財産と債務を無条件・無制限に引き継ぐ方法をいいます。

 相続開始を知った日から、3ヶ月以内の熟慮期間に限定承認の手続きしなかったときは、自動的に単純承認をしたことになります。

 自動的に単純承認をしたことになるケースとしては、

 ・相続人が相続財産の全部または一部を処分した

 ・相続人が相続開始を知った日から3ヶ月以内に限定承認または放棄をしなかった

 ・相続財産の全部または一部を隠匿し、私的にこれらを消費した。または故意にでこれらを財産目録に記載しなかった(相続人が限定承認または放棄をした後でも適用されます)

 このようなことがあった場合、たとえ本人に相続する意思がなくても単純承認をしたことになります。

 

相続放棄とは

 相続放棄とは、「財産を継ぐ」ということには、良いことばかりではなく、時には不都合になることがあり、それを「引き継がない」と裁判所に申請することです。

たとえば被相続人が多大な借金を残してしまった場合。相続の結果、その借金を受け継ぐことにってしまうこともあります。

しかし、相続人が被相続人の財産や借金を「引き継がない」と申請することができます。これを「相続放棄」といいます。

 

限定承認とは

 限定承認は、相続財産全体ではマイナスの財産の方が多いが、どうしても相続したいプラスの財産がある場合に行われる相続方法です。
 具体的には、「相続財産にプラスの財産とマイナスの財産があり、プラスの財産の限度においてマイナスの財産も相続し、それ以上のマイナスの財産を相続しない」ということになります。
 ですから、個人商店などの事業を営んでいた方の相続など、プラスの財産とマイナスの財産が複雑に入り組んでどちらが多いかわからない場合などにも適した方法です。

 ただし、限定承認をするには、いくつかの条件があります。
 ひとつは、相続人が相続開始を知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に限定承認の申立をしなければならないことがあります。もし3ヶ月を超えてしまった場合、自動的に単純承認をしたことになります。単純承認をすると、基本的にプラス・マイナス両方の財産をすべて相続することになります。
 また複数の相続人がいる場合は、相続人全員が一致して限定承認を行わなければなりません。

 なお、相続開始を知った日から3ヶ月経ってしまっても、条件によっては相続放棄できる場合があります。

 

相続人調査と相続人の確定

 遺言書がなければ、相続人の調査から行います。

 依頼者から、「相続人は分かるから」と次を依頼する方がいますが、戸籍謄本、原戸籍謄本等を通じて間違いなく相続人であることの証明が出来なくては、金融機関でも預金の引き下ろしが出来ませんし、法務局における相続登記もてきません。

 そのため、弊所では法務局における「法定相続情報証明制度」を利用させてもらっています。法務局に相続人が誰であるかを証明してもらうのです。銀行や市役所に行くと、この「法定相続情報証明制度」の利用案内が見られます。 

 

相続順位と法定相続分

 相続順位と法定相続分についてみてみましょう

 ある人が亡くなった場合、配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になります。

 ・第1順位の相続人は直系の卑属(子)がなります。子が死亡している場合は、その子(孫)が第1順位の相続人となります。

 ここで注意しなくてはならないのが、子の配偶者は相続人ではありません。気を付けてください。

 ・亡くなった方に子がいなかった場合、つまり第1順位の相続人がいなかった場合、第2順位の相続人に行きます。直系の尊属(父、母)です。父母が2人とも死亡している場合、おじいちゃん、おばあちゃんです。

 ・直系尊属がいない場合、第3順位の相続人として兄弟姉妹がなります。兄弟姉妹が亡くなっている場合、その子が第3順位の相続人になります。

 

 法定相続分とは、相続人間の公平を図る理念の下、、法定された割合のこと。

 ・相続人が、配偶者とその子の場合

 配偶者:1/2

 子  :1/2(子が2人いる場合2人で1/2、つまりそれぞれ1/4)

 

 ・相続人が,配偶者と父母の場合

 配偶者:2/3

 父母 :1/3(父母が2人ともいる場合2人で1/3、つまりそれぞれ1/6)

 

 ・相続人が、配偶者と兄弟姉妹の場合

 配偶者 :3/4

 兄弟姉妹:1/4(兄弟姉妹が2人いる場合2人で1/4、つまりそれぞれ1/8)

 相続にはその他いろんなパターンがあります。

 相続には様々なことが考えられますので、その場合はご相談ください。

 

相続人調査と相続人の確定

 遺言書がなければ、相続人の調査から行います。

 依頼者から、「相続人は分かるから」と次を依頼する方がいますが、戸籍謄本、原戸籍謄本等を通じて間違いなく相続人であることの証明が出来なくては、金融機関でも預金の引き下ろしが出来ませんし、法務局における相続登記もてきません。

 そのため、弊所では法務局における「法定相続情報証明制度」を利用させてもらっています。法務局に相続人が誰であるかを証明してもらうのです。銀行や市役所に行くと、この「法定相続情報証明制度」の利用案内が見られます。

 

遺産分割協議

 財産調査に基づいて財産目録を作成したら、遺産分割協議を行います。遺産分割(財産の分け方)は、相続人全員での協議によって決めることが前提です。

 ここで、協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。

 この遺産分割協議書は、専門知識を持った行政書士に依頼ください。「相続と終活の相談室 オフィスなかいえ」が預金や相続登記の円滑な名義変更を実現させます。

 

遺産分割協議書必要書類

被相続人関係

□住民票の除票

□戸籍謄本

□改正原戸籍謄本 ※被相続人については出生から死亡まで必要

         ※相続人が兄弟姉妹(甥姪)の場合は被相続人の両親まで必要

□除籍謄本

□土地・家屋名寄帳兼課税台帳(写)

□土地・家屋固定資産評価証明書

□金融機関残高証明書

□金融機関名義変更(解約)用紙

推定相続人(代表相続人)関係

□戸籍謄本

□改正原戸籍謄本 ※被相続人との関係が始まった時(婚姻・出生)から現在まですべて必要

□住民票(又は戸籍の附票)×2

□印鑑証明 ※これは本人に依頼 金融機関は発行後3ヶ月以内、相続登記用は期限なし

推定相続人(配偶者)関係

□戸籍謄本 ※被相続人と同居の場合必要なし

□改正原戸籍 ※被相続人と同居の場合必要なし

       ※被相続人との関係が始まった時(婚姻)から現在まですべて必要

□住民票(又は戸籍の附票) ※被相続人と同居の場合必要なし

□印鑑証明 ※これは本人に依頼 金融機関は発行後3ヶ月以内、相続登記用は期限なし

 

未成年者がいる場合の遺産分割

 未成年者は、相続人であっても遺産分割協議に参加できません。その場合、

①未成年者が成年になるまで待って、遺産分割協議を行う

②未成年者の代理人を立て、代理人が遺産分割協議をする

が考えられます。

 通常、未成年者の代理人は親ですが、その親と未成年者が揃って相続人になるような場合は、その親は代理人となって遺産分割協議をすることはできません。親の利益と未成年者の利益が相反することになるからで、法律で禁止されています。

 また、未成年者の子供だけが相続人になる場合でも、複数の子供の代理人に一人の親がなることも禁止されています。

 その場合は、特別代理人を選任する申し立てを、家庭裁判所に行います。

 

不在者がいる場合の遺産分割

 相続人の中に行方不明者がいる場合は、

①不在者の失踪宣告をする

②不在者の財産管理人を選任する

のどちらかを選ぶことになります。

 

①不在者の失踪宣告をする

 失踪宣告をすることによって、行方不明の相続人は死亡したものとみなされますので、相続財産の名義変更等遺産分割手続きだ出来るようになります。

 但し、失踪宣告をしても行方不明者の相続分が消えてしまうわけではありません。本人が後日出てきたときは、相続分を請求することが出来ます。

 

②不在者の財産管理人を選任する

   家庭裁判所に不在者財産管理人の選任してもらいます。不在者財産管理人は、不在者の財産を管理したり、不在者の代わりに遺産分割協議に参加することになります。

 

認知症の方がいる場合の遺残分割

 相続人の中に認知症等で判断能力が十分でない方がいる場合、そのままでは遺産分割協議はできません。遺産分割協議書に印鑑を押させるような行為をした場合は無効となります。

 相続手続きは、相続人全員が遺産分割に同意しなければなりません。したがって、意思能力が困難な方がいる場合は、それに代わって遺産分割協議に参加する代理人が必要になります。それが後見人です。

 後見人は、家庭裁判所に成年後見人の選任の申し立てをしなければなりません。そのとき家庭裁判所から、「2~3ヶ月かかります」と言われるかもしれません。

 後見人が選任されて、後見人を含めた遺産分割協議を行います。

 

 次に、

遺留分について説明します

 被相続人(財産を残す人)が遺言書を書いていて、そこに特定の人に財産のすべてを残すと書いていた場合、被相続人の書いていることは尊重しなければなりませんが、他の法定相続人(相続をする権利がある人)にも相続を受ける権利があります。

そこで遺留分です。遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹以外)に認められた最低限の遺産取得分のことで、遺言よりも優先されます。例えば、「すべての財産を○○に相続させる」という遺言があっても、配偶者及びご子息はある割合の遺産をもらう権利を持っています。

 法定相続人が遺留分減殺請求をすれば法定相続分の1/2を請求することができるのです(法定相続人が父母だけの場合は1/3)。これが遺留分です。ただし、遺留分は請求しなければ認められません。当然にもらえるものだと思っていても、請求しなければなにも起こりません。

 

 例えば、法定相続人が配偶者Aと子供BとCがいたとして、遺言書に財産のすべてを子供のBに残すと書かれていた場合、その財産を当てにしていた他の法定相続人は納得がいきません。そこで、その法定相続人に法定相続の一定割合を取得しうる権利(遺留分権)が認められているのです。

 その遺留分の割合は、「直系尊属(実の父母)のみが法定相続人になる場合には、3分の1、それ以外の場合は2分の1」(民法1028条)と決められています。

つまり、上記の場合、配偶者は1/2×1/2=1/4、子供Cは1/4×1/2=1/8を請求することができるのです。

 

遺留分制度(2019年7月1日施行)

 遺留分を請求された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることが出来るようになります。しかし、遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することが出来るとは限りません。その場合、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることが出来ます。

 

相続税について

 相続税には基礎控除があります。

 基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

 この金額以内であれば、課税されません。

 

生命保険の非課税枠

 生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人の数

 ※ただし、保険料負担者と被保険者が同一で、死亡保険受取人が相続人だった場合

 

配偶者居住権(2020年4月1日施行)

 配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は、遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することが出来ます。また、被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできます。

 

 例を挙げて説明すると、被相続人が2000万円の自宅と現金3000万円をもっていたとします。相続人はその配偶者と息子の二人です。

 その配偶者は、配偶者居住権(1000万円)と預貯金1500万円をその子は負担付き所有権(1000万円)と預貯金1500万円を相続することになります。

 配偶者は自宅での居住を継続しながらその他の財産も相続できるようになります。

 今までは、配偶者が自宅を相続しようとすると、2000万円の自宅と500万円の預貯金を相続せざるを得ませんでした。

 

婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置(2019年7月1日施行)

 婚姻期間が20年以上である夫婦間で居住用不動産(居住用建物又はその敷地)の遺贈又は贈与がされた場合については、原則として、遺産分割における配偶者の取り分が増えることになります。

 このような規定を設けることにより、配偶者は、より多くの財産を取得することが出来る。

 例で説明すると、相続人が配偶者と子2人。遺産が居住用不動産2000万円、その他の財産6000万円。配偶者に対する贈与 居住用不動産2000万円。

 居住用不動産は、生前贈与分について相続財産とみなす必要がなくなる結果、配偶者の遺産分割における取得額は、8000万円×1/2=4000万円、となり、最終的な取得額は、4000万円+2000万円=6000万円となり、贈与がなかったとした場合に行う遺産分割より多くの財産を最終的に取得できることになる。

 

預貯金の払戻し制度(2019年7月1日施行)

 預貯金が遺産分割の対象となる場合に、各相続人は、遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることが出来るようになります。

 遺産分割における公平性を図りつつ、相続人の資金需要に対応できるよう、以下の2つの制度を設けました。

 ①預貯金債権の一定割合(金額による上限あり)については、家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払いを受けることが出来る。

 相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)×1/3×(当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)=単独で払い戻しをすることが出来る額

 ※ただし、1つの金融機関から払い戻しが受けられるのは150万円まで。

 ②預貯金債権に限り、仮払いの必要性があると認められる場合には、他の共同相続人の利益を害しない限り、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになった。

 

特別の寄与の制度(2019年7月1日施行)

 相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場には、相続人に対して金銭の請求をすることが出来る

 これは逆を言うと、請求しないと貰えないということである。

 例えば、先に亡くなった長男の妻が、その長男の父の療養看護等を行っていたとして、相続開始後、長男の妻は、相続人に対して、金銭の請求をすることが出来る、というものである。しかし、長男の妻が、果たしてその請求を出来るかどうか疑問である。

 

 では、実際にどうやって相続と手続きが始まるのでしょうか?

 

相続の手続き

①遺言書があるか調べます

 相続の手続きでは、まず最初に、遺言書があるかどうかを調べます。遺言があればその通りに分けます。

 遺言書は、その種類によって保管場所が変わります。

 自筆証書遺言であれは、2020年7月10日までは、本人が管理しているはずです。

 2020年7月10日以降は、法務局でも預かってもらえます。

 公正証書遺言は、公正役場で保管しています。

 

 チェックしましょう。

 

②遺言書がなければ遺産分割協議を行い、それを文書にします

 遺言書がなければ、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。

 これは、法定相続人全員の同意が必要です。

 それを文書にしたものが、遺産分割協議書です。

 

 これがないと、銀行での引きおろしや不動産の登記変更はできません。

 

③相続財産を実際に分けます

 私たちは、相続財産の分割までをお手伝いいたします。

 遺産分割協議書を書いて、「はい、できました」ではありません。

 依頼者の方は何をどうすればいいのかわからないまま来所し、依頼をされる方がほとんどです。

 また、平日休みが取れない方も多く、遺産を分割することもままならない状態です。

 ですので、そのまま放り出すようなことは致しません。

 

 相続の手続きの遺産の分割ができるようにまでお手伝いいたします。

 

相続の専門家

 相続が発生したら、まずは【相談無料】の 相続と終活の相談室 オフィスなかいえ へご相談ください。

 自分で解決しようとしても、複雑で面倒な相続の手続きは時間がかかります。

 時間がかかると相続人どうしで不信感が芽生えます。

 その不信感がトラブルに発展してしまいます。

 相続は早めに終わらせましょう。

相続の

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