ここでは、セミナー等で家族信託について教わったが、その時に聞けなかったこと等について少しだけ書いてみました。
「家族信託」という言葉は、信託法や信託業法に規定された言葉ではありません。
金融庁の許可を得た人だけが「信託業」(信託銀行や信託会社)として不特定多数の方から財産を受託することが出来ると定められています。このように信託業として行われる信託が「商事信託」です。
一方、それ以外の「商事信託でない信託」を「民事信託」と呼んでおり、なかでも当事者が家族・親族であるものを「家族信託」と呼んでいます。
一般的には、民事信託=家族信託として扱われています。
商事信託を行っている信託銀行に、この家族信託を頼めるのか?
結論から言いますと、今お話ししている【家族信託】は、銀行にはできません。
銀行等に行くと、家族信託がいかにも出来るような言葉を使っていますが、その内容は全く異なっています。私たち家族信託専門士がおこなっている家族信託との違いは、
違い1⃣ 信託財産の種類
家族信託では、信託できる財産には制限がありません。基本的に多いのが、不動産や未公開株等です。
それに対して、銀行が出来るのが金銭のみです。
違い2⃣ 設計内容の自由度
家族信託は設計内容の自由度が高く、財産を委託する人の要望に合わせて設計します。
それに対して、銀行などの家族信託系サービスは、信託内容のほとんどの部分があらかじめ決まっています。
違い3⃣ 目的
家族信託の目的は、認知症・病気対策、共有不動産対策、事業承継対策、相続対策、親なき後問題対策、子どものいない夫婦の財産承継対策などさまざまです。
それに対して、銀行などの家族信託系サービスは、認知症になった本人の指定した家族が出金出来ることや、遺族の生活費や葬儀費用の捻出を主な目的としています。
これらの違いにより、似た言葉を使っていますが、全く別物です。
何故、銀行が金銭しか対象としていないのかは、銀行法によります。
銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする法律。1981年(昭和56)制定。昭和56年法律第59号。本法において「銀行業」とは、預金または定期積金の受入れと資金の貸付または手形の割引とをあわせ行い、または為替(かわせ)取引を行う営業をさし、「銀行」とは内閣総理大臣の免許を受けて「銀行業」を営む者と定義づける。同法は、銀行の業務内容、子会社の範囲、経理、銀行に対する行政の監督、銀行の組織再編、外国銀行、銀行主要株主の管理、銀行持株会社、銀行代理業、電子決済等代行業、金融ADR(裁判外紛争解決手続)等について規定する。
2020年4月17日
所有する財産の管理・運用・処分等を、第三者が行うことのできる制度として、家族信託以外には「財産管理委任契約」と「成年後見制度」があり、それぞれを比較いたします。
財産管理委任契約 | 成年後見制度 | 家族信託 | |
委託者の設定時における意思判断能力 | 意志判断能力を有する場合のみ設定可能 | 意志判断能力を有する段階で設定する任意後見と、喪失後に設定する法定後見 | 意志判断能力を有するばあいのみ設定可能 |
法定行為の主体者 | 受任者 | 成年後見人 | 受託者 |
契約期間中に委託者の意志判断能力が喪失した場合 | 終了しないが、本人確認において実務上、対応不能のリスクがある | 成年後見人が被後見人の財産の管理を行う | 信託契約の定めに従い受任者の判断で可能 |
身上監護 | 無 | 有 | 無 |
柔軟な財産の管理処分 | 契約内容に従い可能 | 成年後見発動後(対象者の意志判断の喪失後)は保全を目的とした財産の管理しかできない | 信託契約の定めに従い受任者の判断で可能 |
委任者の死亡時 | 委任契約は終了 | 任意後見、法定後見ともに終了 | 信託契約の定めに従い受任者の権利と義務は継続可 |
委任者死亡後の資産承継先指定 | できない | できない | 信託契約の定めに従い設定可能(2次相続以降も自由に設定可) |
必要コスト | 委任契約の定めに従った費用は契約期間中に発生 |
・申立て時のコスト ・後見の開始から被後見人の死亡による後見終了まで後見人報酬が発生 ・後見監督人が就けばさらに監督人報酬も発生 |
・設定時のコスト ・受任者報酬は基本発生しなjが、信託契約の定めにより設定も可能 ・信託監督人、受益者代理人等の設置の場合の各報酬 ・信託期間中の会計報告等に伴うコスト |
財産の承継に関わる制度としては、遺言がありますが、家族信託との違いは?
遺言 | 家族信託 | |
設定時 | 意志判断能力を有する場合のみ作成可能 | 意志判断能力を有する場合のみ作成可能 |
設定方法 | 自筆遺言又は公正証書遺言 | 私文書又は公正証書による信託契約書 |
設定時の関与者 | 単独行為(自身が単独で作成可能) | 契約行為)契約当事者間における契約 |
財産の承継先指定 | 一次相続先のみ | 二次相続先以降も自由に設定可能 |
作成後の変更 | 本人の意思のみで可能 | 信託契約の定めに従い変更可能 |
生前の財産管理 | 対象外 | 信託契約の定めに従い設定可能 |
信託においては、受益者が信託財産を保有しているとみなす「受益者課税」が原則です。
賃貸物件を持っている父親が「委託者兼受益者」として息子を「受託者」とする信託契約を結んだ場合は、その家賃収入は受益者のものとみなし、父親は所得税を申告する必要があります。同様に、受益者を母親にした場合は母親に課税されます。
信託契約による登記を行うと、登記上、所有者欄に受託者の名前が入りますが、受託者が実際に不動産を取得したわけではないため、不動産取得税は課税されません。
不動産移転登記については、通常の所有権移転での登録免許税が評価額の2%なのに対し、信託の場合の登録免許税は原則0.4%です。
通常の所有権移転に比べると、信託の登録免許税は軽減されています。
固定資産税は、1月1日現在の不動産登記簿に記載された人(登記名義人)に納税義務があるとされており、形式上の納税義務者は受託者になりますが、事実上納税額を負担するのは実質上の所有者である受益者です。
資産が信託財産となっていてもその評価は基本的に変わらず、土地であれば路線価を、建物は固定資産評価額を基に評価します。ここでは小規模宅地の特別などの減額措置もすべて適用可能となります。つまり、信託制度を利用したからといって、納めるべき相続税の金額には影響ありません。
受益者を誰と定めるかによって二通りに分けられます。
一つは「自益信託」と呼ばれる家族信託で、父親が委託者、息子が受託者と設定し、受益者が父親本人になるようなケース。この場合「委託者と受託者が同じ」で、財産(利益)の移転がないため、贈与税は発生しません。
二つ目は「他益信託」で、委託者は父親、受託者は息子、受益者を母親に設定するようなケースです。この場合、信託契約を組成した時点で父親から母親へ利益が移転されたとみなされ、贈与税の対象になります。
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